

人間の成長は侮れない。
所用のため、ストーンリバーコーヒーへ、一年以上ぶりに顔を出す。
店主の石川君は、昔からの患者さんであり、友人でもある。
当処の開業当初(約十年ほど前)に、来てくれた。
部分的にではあるが、色々な彼を知っている。
彼に怒りをぶつけた事も数多くある。
また、この十年で疎遠になっていた時期もある。
三年ぶりに、再会した時にも、「そんなことでは、商売なんかやっていけない」と伝えた。
SNSなどで、近況は見たりしていたが、どうもお店には行く気になれなかった。
ストーンリバーコーヒーも開業し、一周年を迎えた。
最初に聞いた話だと、どう考えても一年以内に終了だった。
しかしながら、今日も営業を行っていた。開業から一年三か月は経過したはずだ。
開業時は、何となく寂しい感じの店内だったが、様々な商品やメニューなども増え、華やかな明るい感じがした。
何より、石川君自身が、たくましくなったように感じたし、生き生きとしていた。
僕の予想は、完全に間違えていた。
もちろん、彼の成長を願っていたし、成功を思っていた。
自らの見通しの甘さを痛感した。
まだまだ、自分自身も修行が足りないと反省した。
多くの石川君のファンのお客さんがいらっしゃるようで、彼のお尻を叩いてくれているらしい。
お店をお客さんと創っているようだ。お店のアイデアもお客さんが出してくれるらしい。
典型的な弟キャラの石川君にピッタリである。
数年前から、石川君には伝えていた。
「絶対店やったらいいのに。お客さんが来るよ」
石川君のコミュニケーション能力は、紛れもない才能である。
トートバッグを購入したが、僕にとってはただのバッグではなく、彼の成長の証、フラッグであった。